質問のスキル

すべてのメンバーから十分に平等に話を引き出す。会議などにおける質問のスキルの鉄則です。

ではそのためのスキルはなんでしょう。

ここで最も注意しなければいけないのは、質問の「順番」です。誰から順に質問をするか。それによって、話し合いの深まり方に大きな差が出てきます。またバランスも重要です。限られた時間で効率的に良いエッセンスを抜き出す「時間配分の力」も必要です。

 

*「良い答えを出してくれそうな人」から問う

一つの質問を順番に答えてもらう時、メンバーの中で一番「良い答えを出しそうな人」に、最初に問いかけるのも有力なアプローチです。最初に「良い体験や知恵を持っていそうな人」、「明確で、わかりやすい表現のできる人」、「話し上手で、場を活発に盛り上げてくれる人」もしくは、「聞きたい点を心得ていて、助け舟を出してくれそうな人」など、力になってくれそうなメンバーから答えを出してもらうと、次に向かって流れを作ることができます。

次に質問を向けるのは、「その次に答えを持ってくれそうな人」。つまり可能性のある人から順番に、話を聞けばよいのです。

上司としては、課題を抱えている部下に先に質問したい気持ちになりますが、それが最善とは限らない。

問題を抱えた部下は、問いかけられても何も出てこないばかりか、かえって萎縮させてしまうかもしれないし、場のエネルギーを下げてしまうかもしれない。

 

*指名型と公募型の質問を使いわけよう

質問を通して相手から引き出す項目は、「体験」、「意見」、「提案」、「要約」があります。

また、「何か、質問はありますか?」と問いかけて「質問」そのものを引き出すこともできます。

そして、それらを問いかける質問の仕方には、「指名型」(特定の個人に問いかける)と「公募型」(全体に向かって問いかける)の二種類があります。この二つをタイミングよく使い分けましょう。

 

指名型が適しているシチュエーションは、相手のことがよくわかっていて、良い答えが出そうだと予測できたとき。「○○君、あの案件を行ったときに、何かいい発見がありましたか?」など、答えを予測して質問します。

誰かから、何かを引き出すと効果的かを考えて、指名することが大事です。

 

メンバーの自発性や主体性を引き出すためには「これについて意見のある人いますか?」という質問 「公募型」の質問が効果的です。

公募型が最も適しているシチュエーションは、メンバーのうちに誰が、どんな情報を持っているかまだわからないときや、何か面白い、あるいは建設的な意見が出そうなとき。

 

*問いかけ方で部下の行動を変える。

最初に質問を発するときの問いかけ内容を、的確に設定するにも効果的です。

答えの内容を断然優れたものにする「問いかけ方」というものがあるのです。

例えば、「旅行、楽しかった?」と尋ねるだけでは「楽しかったよ〜」で終わってしまいます。

しかし、「どんな料理食べたの?」と質問すれば、「四川料理、麻婆豆腐の山椒の辛さが最高だった!」と

その場の情景が伝わる答えが返ってきます。

良い質問とは、部下が自分の意識を深く探らずにいられなくなるような質問です。

Yes、Noのように良かった、美味しかったという答えよりよりもっと細かい内容について話したくなるよに、

相手の表情や身振りなどをみながら「そのときの感動したことなど」について聞くのもいいと思います。

 

*二人目以降は、相手を見て質問のしかたを変える

相手が、答えを持っていそうなときは、「○○さんはどう?」と短縮系でテンポよく聞きましょう。

相手が、考え込んでしまうタイプの場合は、より具体的に「○○さん先週のクレーム対応で何か発見あったかな?」と質問時間を長く取り考える時間をプレゼントしてあげましょう。

 

 

出典:グループコーチング入門 本間正人 日経文庫より


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