3、志

メタスキルを磨き、事前の準備も入念にできたとして、最後に必要な根っこは何だろう。

私たちは、ファシリテーター自身が、ある種の「志」を持っている事がとても大切だと思っている。

ファシリテーターが、一人前の人間として、どんな志や夢を持っているのか、ということ。「青年よ、大志を抱け」の志だ。

自分なりの大志を求め続ける姿勢は、人間の軸として大切だと思うのだ。メタスキルとして、つまり基本的な姿勢や態度としても、なにかしら表れてしまうし、人としての存在感にも関わる。 なにより、志がなくては、困難な仕事をやり抜いていく原動力が出てこないだろう。

またこの志の方向性が、意識的にせよ無意識にせよ、プログラムデザインやファシリテーションの方向性に影響を与えてしまうことは、避けられない。ただ、自分の志を絶対善として他社に押し付けたり、隠された落としどころにしてそこへ意図的に誘導したりするようなことは、絶対にしてはいけない。 自分で強い思いがありそれを形にするために企画する時も、主催者・企画者としてテーマ設定やプログラムの流れに自分の思いが反映するのは当然だが、ファシリテーターとしては、参加者の中から起こっていることは、そのまま尊重する姿勢が必要なのは言うまでもない。

出典:ファシリテーションー実践から学ぶスキルと心 岩波書店 中野民夫、他


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