観察のスキル
一人に集中しながら周囲を観察する 少し高等な技術ですが、その具体的な方法を説明します。
*上手な「目配り」と「うなずき」
ときおり、視線を左右に動かして目の前の部下以外の部下にも目配せをしましょう。
ずっと目の前の部下ばかり見ていると、聞いている側も疲れるし、周りにいる部下も置いてきぼりを食らった気分になります。そこで、目の前の部下の話に大きくうなづきながら、首を動かして他の部下の表情を確認します。
「うなずくタイミングを活かして」視線を配るのがポイントです。
「うなづき」と「目配り」は、同時に行わないようにしましょう、一拍おいてから「目配り」を行うようにしましょう。同時に行うと、その落ち着かない態度に、根の前の部下が不安を感じてしまいます。
*「周縁視力」を鍛える
見ているものから視線を外さずに、同時に周りで起こっていることをどれだけ感じ取れるか、これが周縁視力です。
目の前の部下に注目しながら、周りにいる部下のしぐさや表情も見なくてはならない会議の時などで使うことになる大切な技術です。
これを鍛えるには、一つのものを見ながら周りの出来事も意識する訓練が必要です。
例えば、自分の机のパソコンの画面を見ながら、部屋の中の様子の変化にも意識をするとか、向かい合っているひとを見ていて、その隣にいるひとのしぐさに留意する。「髪の毛をいじっている」とか、「いま、席を離れた」とかの変化に留意しましょう。
*自分の「体のクセ」をつかむ
自分の「体のクセ」を熟知している人はなかなかいないものです。
手や足が、右利きか、左利きかは、ご存知だと思います。では、目はどちらが「利き目」でしょうか?
たいていの方は、右目か左目のどちらかが、「利き目」です。それを確認する方法は簡単です、体の正面で手を伸ばして、人差し指を上向きに立て、それを両目で見ます。次に片目づつ目を閉じてみましょう。右目だけで見た時、左目だけで見た時、両目で見た時と違いが無い方の目が、あなたの「利き目」です。
右目が「利き目」の方は、右の方が見やすいので右の部下の方ばかり見る傾向があるので、左側の部下は、見られて無いなと感じるでしょう。意識して左側の部下を見るようにすれば、改善されます。このように「利き目」でも留意点があることを認識してください。
*場の空気を読む方法
数人のメンバーが集まった場で、その場の雰囲気を適切につかみ取って対応することは、大切なスキルです。
そのスキルを持っているかどうかは、なんらかの雰囲気を感じた時に「それをどう表現するか」ということにかかっています。
雰囲気が、「張り詰めている」、「緩んでいる」、「盛り上がっている」、「緊張の糸がプツンと切れている」、「和んでいる」、「落ち着いている」 場の空気を言葉で表現できることが、状況を的確に把握できている、といゆことです。言葉があるから人は、状況を適切に表現できるのです。言葉は、人間が何かを認識する時に必要不可欠な枠組みであるといえます。語彙の豊かさが思考の深さに比例します。
出典:グループコーチング入門 本間正人 日経文庫より